パブリッシャーデータの力:Cookieの規制がもたらすビジネスチャンス (The Power of Publisher Data: Business Opportunities for Cookie Regulation)
3rdパーティCookieの無効化が刻々と迫っています。GDPR・CCPAによるプライバシー保護、Google・Appleによる3rdパーティCookieの制限は、3rdパーティデータの衰退を更に加速させていると言えるでしょう。Googleを除くアドテクノロジー企業は、この変遷によって自社のビジネスが脅かされると見ており、マーケターは、パートナー企業のアトリビューショントラッキングが難しくなるのでは、という懸念を持っていますが、逆にこれは3rdパーティデータから1stパーティデータ、そして更に重要なゼロパーティデータへと軸足を移していくチャンスでもあります。
多くのメディア企業は、自分たちがデータビジネスを行っているとは考えていません。大抵の場合は、自社のビジネスは、質の高いコンテンツを制作し、配信することだと捉えています。もちろんそれは、ユーザーの注目度を高め、維持することが大変重要なビジネスです。しかし、今日のデジタル市場で生き残り、そして繁栄するために、経験豊富なメディア企業は、自社の1stパーティデータを増やし充実させる方法だけではなく、FacebookやGoogleのようなグローバルプラットフォームに流れてしまう広告主を維持する為の予算確保に向け、いかにしてデータをパッケージ化するかという問題にも取り組んでいかなければなりません。
メディア企業がデータビジネスに参入しているということは紛れもない事実です。そして、そのデータビジネスを収益化させる為に押さえておかなればならないことを、以下で説明します。
3rdパーティデータに取って代わるものとは?
3rdパーティデータは今後、完全に消滅してしまう訳ではありませんが、データの価値が著しく下がることに変わりはありません。しかし、より優れた代替案がすでに存在しており、それを正しく理解する為には3rdパーティデータが、ゼロパーティデータ・1stパーティデータ・2ndパーティデータの持つ力に比べ、どのように劣っているのかを理解する必要があります。
ゼロパーティデータとは、顧客(サイトユーザー)が意図的に運営企業と共有するデータのことです。会員登録時にフォームに入力された顧客のメールアドレスや性別などの顧客関係管理(CRM)データや、Webサイトのカスタマイズ時に選択した設定情報などが含まれます。価値交換の一環として、またはユーザーエクスペリエンス向上の為に、顧客の明示的な同意のもとで提供されたデータです。これはパブリッシャーやブランドが収集できる最も価値のあるものですが、正確に言えば所有者は企業ではなく顧客自身ですので、顧客の同意がなければ使用することはできず、データの保護も慎重に行わなければなりません。しかし、非常に正確で、信頼性と透明性の高いものです。
1stパーティデータは、ゼロパーティデータを含むと考えられる場合もありますが、Webサイトやアプリを閲覧したり、オンラインストアを訪問したりする際に顧客を観察し収集する行動データも含まれています。行動データのようなタイプはゼロパーティデータとは異なり、顧客の暗黙的な合意の下で収集されるデータですが、依然として価値の高いものと考えられています。その理由は以下の3つが挙げられます。
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事業者自身が収集しているので、正確である可能性が高い
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自社の顧客ベースやオーディエンスから得られるインサイトは、他社のオーディエンスのインサイトと比較して、彼らの嗜好や行動を真に反映している可能性が高い。つまり、1stパーティデータに基づくキャンペーンや戦略が成功する可能性が高い。
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データが収集・保存される条件を自社が管理しているため、データの誤用やGDPRへの準拠に関する懸念が少ない。
2ndパーティデータは、1stパーティデータを提携している他社に渡した際に、そのような呼び名に変わります。言い換えれば2ndパーティデータは、他社の1stパーティデータなのです。サプライヤーが相互利益のために小売業者とデータを交換したり、広告代理店が大手パブリッシャーと独占契約を結んで運用型広告を強化しようとした場合など、同じ目的をもつパブリッシャーとの提携の中で発生するものです。メディア企業にとって、2ndパーティデータの使用や共有に関する同意を得ることは簡単なことではありませんが、適切なテクノロジーのセッティングをしっかりと行うことにより、確実に処理することは可能です。
そして最後に3rdパーティデータです。これはデータ仲介業者(データアグリゲーター)によって販売されるデータのことを言います。膨大な量が入手可能であり、いろいろな消費者のタイプを見つけられるというポテンシャルはありますが、3つの大きな課題があります。
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オンライン上のプライバシーとGDPRに関する消費者の懸念が高まっていることです。消費者がデータを使用する許可を与えているかどうかを含め、3rdパーティデータの正確性を確認することは不可能であり、その有効性を確認することもできないので、3rdパーティベンダーを信頼するしかないという問題点があります。その為、データサイエンティストの間では、今後3rdパーティーデータの利用は大幅に減少するというコンセンサスがあります。
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3rdパーティデータは古く、信頼性が低い場合があります。ある広告の商品をすでに購入済みであったり、購入しないことに決めた消費者がターゲティングされ、その後数週間に渡り、その消費者のインターネット上で同じ広告が表示されてしまうのはその為です。2週間、もしくは2ヶ月前のデータセットで戦略を構築している場合、データ自体とそれに基づいて構築された戦略は効果的でない可能性があり、オーディエンスの不信を招きます。また、3rdパーティCookieの制限により、今後3rdパーティデータの信頼性がよりいっそう低くなることは目に見えています。
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3rdパーティデータのソースは曖昧なことが多く、どのように収集・集計・販売されているかはブラックボックス化されてしまっていることが一般的です。ユーザーの同意が常に認識・検証可能でもありません。業界がデータの透明性に関するルールを厳格化させるにつれて、3rdパーティデータの有用性は低下し続けるでしょう。
DMPの価値はVIP級
では、3rdパーティデータがますます弱くなる中で、メディア企業は何をしたら良いのでしょうか?
まず初めの一歩として、データ収集を正しく行うことです。ゼロパーティデータの獲得は、オーディエンスとの適切な価値交換が必要です。例えば、会員登録・アンケート回答・フォーム送信時の、特典提供などがそれに該当します。顧客のエンゲージメントをより効果的に高めることができれば、個人情報を提供してもらえる可能性も自然と上がるものです。
DMPでゼロパーティデータと1stパーティデータを使用することで、すべてのアクティビティがデータ規制に準拠していることが保証されるだけでなく、このデータの属性から、データが正確でユニークであることも保証されます。つまり、高品質なデータを使用することで、DMPの”エンジン”が可能な限り効率的に機能するのです。
データがDMPに統合されると、オーディエンスセグメントが広告エコシステムに取り込まれます。オープン・オークション、プライベート市場のための広告サーバーやプログラム型オークション・プラットフォームにデータが渡るのです。パブリッシャーのオーディエンスセグメントが、同様のセグメントを求める広告主とマッチされ、広告が配信されます。配信はDSP (demand-side platform) とSSP (supply-side platform)を介して行われます。DSPとは広告枠の購入を自動化するソフトウェアで、SSPはパブリッシャーが広告インプレッションを、自動オークションにて様々な価格オプションで販売することを可能にします。DSPはターゲティングしたオーディエンスに最適な広告を提供することができ、この二つのプラットフォームのオプションが同意に至った際に、データの交換が行われ、広告が然るべき枠に配置されます。
この時、質の高いデータを使用することが非常に重要です。データが正確であればあるほど
、広告主が求めるセグメントとマッチするので、パブリッシャーがより高いCPM(1000インプレッション当たりの広告単価)を示すことができます。つまり、企業がより高いレートでキャンペーンを売ることができるのです。
多くの企業が多額の予算を費やして3rdパーティデータを購入し、CPMを上げようと努力していますが、PIANOで使用している1stパーティデータは、すでにパブリッシャーが保有しているデータであることから、データの正確性を保証するためのコストが発生しません。
Piano DMPを活用すると、マッチング広告で関連ユーザーをターゲティングするだけでなく、ビジネス全体の内部オペレーションの改善が可能になります。外部の広告キャンペーンに使用する為だけに信頼性の低いデータを購入するのではなく、独自のデータを分析できるようにななるので、より良いビジネス案の策定ができるのです。
機械学習の力を駆使して勝負に勝つ
1stパーティデータは、オーディエンスのポテンシャルを引き出す貴重な武器ですが、ほとんどのメディア企業のCRMデータや識別済みのユーザーデータは、ユーザー全体の2~10%ほどの情報でしかありません。つまり、残りの90~98%のユーザーについては未知なのです。しかし、機械学習能力を搭載したPiano DMPは、サイト内の行動データを利用し、推定拡張する機能で、アノニマスユーザーに対してもユーザーデータを付与することができるので、ほぼ100%のユーザーをカバーすることができます。
一つのメディア企業がFacebookやGoogleなど巨大IT企業と競合する場合、このようなリーチを確保することは絶対条件です。FacebookやGoogleなどのプラットフォームは全てのユーザーの嗜好や行動をトラッキングできるという非常に幸運な立ち位置にあります。1人1人のユーザーが既に好きなブランドや商品などを認識しているため、ユーザーのターゲティングがいとも簡単にできてしまいます。
メディア企業には、残念ながらそのようなデータへのアクセスがありませんが、PIANOの製品を使用することで、それらの大企業とフェアに戦う場を持つことは可能です。機械学習を適用し、既知データから推定する外挿法を用いることで、PIANOのデータサイエンティストたちがオーディエンスセグメントを構築・維持します。そしてパブリッシャーと提携ブランドが、できるだけ多くの人々に共感してもらえるコンテンツや広告でターゲティングできるよう、全力でサポート致します。