有料会員登録後、解約リスクを低減するためのエンゲージメント向上施策

サブスクリプションビジネスを成功させるには、ユーザーが初めてサイトにアクセスした瞬間から、コンバージョンポイントを経て有料課金に至るまでのユーザーの行動を深く理解することが必要です。そして新規契約者だけに注力するのではなく、既存の有料購読者の解約リスクを把握することも同じくらい重要です。

サイト運営側が既存顧客との関係維持の為に何もしなければ、年間で54%もの有料購読者が解約してしまうというデータがあります。ペイウォールをきっかけとして、サブスクリプションサービスを契約したユーザーたちをナーチャリングし、しっかりとエンゲージメント向上施策を行わなければ、半分以上の有料購読者が解約をしてしまうということです。有料購読者には、お金を支払っているサービスがどれだけ優れているか、そしてこのサービスを継続することにより、どのような利点があるのかを理解してもらう必要があります。もし、理解できていない場合には、解約のリスクが非常に高まってしまうからです。

有料会員登録をしたユーザーは、パーソナライズされたコミュニケーションや、プレミアム感を味わえるサイト上の体験を期待しています。もしこのようなサービスが受けられない場合、解約するリスクが高まってしまいます。

解約の判断は一瞬で起こる

サブスクリプションユーザーは、サービスに価値がないと判断した時には、迷うことなく解約手続きを始めます。それを防ぐには、先手を取ったエンゲージメント向上施策が必要です。

解約が近づいていることを示す初期の兆候として、「契約の自動更新の無効化」があります。
PIANOのベンチマークデータによると、20%以上の人が契約初日に、68%の人が最初の60日間で自動更新を無効化しています。自動更新を無効にした人の全員が解約するわけではありませんが、多くの人が解約してしまっている事実があります。その原因を突き止め、解約率をできる限り抑えることができるかどうかは、パブリッシャーの腕次第なのです。

自動更新を無効にしているユーザーや、クレジットカード有効期限やサブスクリプション契約期限が迫っているユーザーを特定し、ターゲティングする方法を確立することはサブスクリプションビジネスには必須となります。1つの深刻な課題として、クレジットカードの有効期限切れなど、ユーザー自らが解約をしていないにも関わらず、解約されてしまう問題があります。これは、適切なアプローチとソリューションを導入することで、大幅な軽減が期待できます。PIANOのベンチマークデータによると、全体の解約数から見て、そのような受動的な解約は34.2%ですが、その50%のユーザが適切なアプローチにより解約を回避しています。

トライアルオファーの落とし穴

解約率を減少させる為に、有料化プロセスの早期段階で、無料または割引価格での有料トライアルオファーのアプローチ方法には、実は大きな欠点があります。短期的には月間の収益が低下し、長期的には多くの有料購読者を失うことになります。

データ上では、無料でのトライアルを始めたユーザーのうち、トライアル終了後に定価のサービスに移行したのは70%のみとなります。有料でのトライアルでは80%以上のユーザーが定価のサービスに移行している一方、始めから定価で加入したユーザーの86%が2ヶ月目も契約を継続しています。これらの結果から見て、トライアルには継続率を上げる効果はなく、結果的に解約率が上がる要因になっていることがわかります。

割引を全面に出すよりも、デコイ価格を設定することが効果的です。デコイ価格とは、サブスクリプション戦略の1つで、意図的に市場価格より高い価格設定のサービスをオプションの1つに加えることで、そのほかのオプションを価格的な観点から、より魅力的に見せる手法です。今までのデータを参考にすると、デコイ価格を​​効果的に実施すれば、サブスクリプションビジネスの収益を106%以上押し上げることができます。

有料購読者に特別な体験をオファー

最後はパーソナライゼーションについてです。解約リスクの高いユーザーが自ら解約するのを未然に防ぐには、エンゲージメントを再び向上させ、パーソナライズされたコンテンツによるキャンペーンで、ユーザーにサービスの価値を再認識してもらわなければなりません。ユーザーが契約を維持することで、ユーザー固有のニーズに合わせ、カスタマイズされた高品質なコンテンツ提供ができることを、再認識してもらうのです。

ユーザーへのコンテンツエクスペリエンス提供例:

  • 有料購読者限定のVIPオンラインイベントへの招待
  • 有料購読者限定のプレミアムWebinarへの招待
  • 業界に特化したインフルエンサーとの交流イベント

適切なオファーを提供できれば、解約リスクの高い有料購読者であっても、解約を再検討する方向に導けます。ユーザーのサイト上の行動データを分析し、行動履歴に沿ってカスタマイズした特別なオファーを提供することで、少なくとも解約のタイミングを遅らせることが可能です。

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